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「あー!また、動かなくなりやがった!
昌子!修理業者の手配頼む!」
ドタバタと階段を上がってくるなり
二代目は麦茶を飲み干した。
「今日は仕事にならん!寝る!」
へいへいと返事をしながら
作業場を覗くと
御義父さんが機械の角をポンッと叩き
パチンコ屋に向かうのが見えた。
三畳間から豪快な鼾(イビキ)が聞こえてくる。
覗くと、娘に抱きつかれながら
い草の薫りの中、眠る二代目の姿が見えた。
「これからも私達を宜しくね、職人さん」
二代目に布団を掛け
修理業者に電話を掛ける。
「そうそう、これも出しておかなきゃ」
料亭への新しい畳のチラシを持ち事務所を出た。
作業場を通り抜ける時
機械に一つお礼をする。
従順に動く。
教えられた事を
ただ淡々と続け伝えるのが
職人って奴さ…。
機械からは職人の息吹が聞こえた気がした。
fin
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