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そして、願いは通じた。以心伝心って本当にあるんだって、僕は信じることができた。
君は、来た。夕陽が沈む直前。最後の一陽が消える、その瞬間に。
闇に埋まりかけた僕の心を照らす太陽のような、そんな暖かい光が僕の心を溶かしていく。
やっと、会えた。
僕がどれくらい待ちつづけていたか、知ってるかい?
君に会えなかったこの一ヶ月は本当に地獄のようだったよ。
あんなのが最後の別れなんて、堪えられない。旅立つ前に、ちゃんと君に会っておかないと、僕には一生後悔が付き纏う。
………君は、僕に出会ってしまったことを後悔するかもしれない、けど、
許してほしい。どうしても、僕は君を忘れられなかった。
この街と君に……未練を残したくなかった。
運命の赤い糸が、君と僕を引き合わせる。
僕らの距離が縮まる。君は、すこしいやがる素振りを見せた。
もう顔も見たくなかったって、そう思われているのかも知れない。
それでも僕は構わない。強引に君を引き寄せる。絶対に離さない。
君にある言葉をーーーもっと近くで、伝えたい。
抵抗する君を、僕は力づくで引き寄せ、両手の中に包み込んで。
潮が弾けて飛沫がかかるのを気にせず、
そして心の底から叫んだーーーー
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