20XX年3月3日(後編)

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そして、 「シンダヒト、立花紗瑛……LOSE」 進行人が呟いた途端、紗瑛さんの頭部が激しく弾けて……彼女の身体はぐにゃりと崩れ落ちた。 悲鳴とも言える声で彼女の名を呼んだ。今度こそ守ろうと思ったのに、オレは二度も大切な人を死なせてしまったんだ。 「あーあ、結局死んだ人が負けちゃったのカァ。つまんないネ」 進行人が、紗瑛さんの死体を見つめながら呟いた。 「まさか、ニセモノが邪魔をするなんてネ。そんなつもりで作ったんじゃないのにナァ。予想外だよネ?」 「お前、何が目的でこんなことを始めたんだよ」 涙をためた目で進行人を睨み、そう訊ねた。 紗瑛さん1人では、こんなことは出来なかったはずだ。紗瑛さんに身体を与え、オレ達の記憶を隠し、Sに閉じ込めた。この少年は、なぜこんなことをしたのか。 進行人は冷たい目でオレを見つめ、しばらく間を置いた後、 「……ボクは、恨みの化身だカラ。あの子の恨みを晴らしてあげただけだヨ?」 貼り付けたような笑顔を向けて答えた。 「ボク達は、winーwinの関係だっタ。だから、このゲームを始めたノ。生き残りが出るとは思わなかったケド……まぁ、そこそこ楽しかったし、いっカ」 天井を見上げ、大きく伸びをする。そして、オレに無邪気な笑顔をむけて 「キミにとっては生き残った方が辛いかもしれないネ。でも、その方が、ちゃーんと罰になるカラ」 「罰?」 「じゃあ、またネ。優飛クン」 進行人が手を振って言った直後、オレは激しい眠気に襲われて一瞬で意識を失い、その場に倒れこんだ。
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