キオク

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キオク

ーーハァ、ハァ、ハァ。 呼吸が荒くなる。走ってきたせいもあるけれど、何より目の前の光景が衝撃的すぎたから。 満月に照らされたコンクリート。そこに横たわる、ひとつの遺体。 地面に叩きつけられたせいで、頭部が弾けている。そこから液体が流れ出て、赤黒い花を咲かせていた。 もっとはやく来ていれば。 もっとはやく気付いていれば。 どんなに後悔しても、その命は取り戻せなくて。だからこそ、涙が溢れ出て止まらない。 ……ねぇ、どうして? 問いかけたところで、答えが返ってくるはずもなく。私は、青い大学ノートを胸に抱えたまま……ある決意を固めた。 私は、この死を忘れてはいけない。私だけが知っている真実を明かすために。
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