第2章

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 どのくらい経っただろうか。ボーっと桜に見入っていた私は、ハッと腕時計を見た。  「やだ、もうこんな時間!」  始業時間は8時半。今日は3係の初日、気合を入れるためにも、30分早く家を出た。にも関わらず、お気に入りスポットに足を運んでしまって、濃いピンクに吸い込まれるかのように、心が別の所にトリップしてしまっていた。  会社まではここから5分か。  「走らなきゃ!」  クルッと回れ右をして、ダッシュしようとした所で、「ドンッ」という音。人とぶつかった感触。  「キャッ!」  
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