第2章

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 「新たに販売促進課に配属された社員、課内異動した社員を紹介する。」 50代と思われる眼鏡をかけた長身の課長は、少しぼんやりしている雰囲気でエリートコースからちょっと外れてしまったかもしれないけど、信頼できる上司だ。私に期待してくれて、仕事がきつい係に異動させてくれたんだし(と、思いたい・・・)。  庶務係・経理係・営業第1係・2係ときて、3係の番になる。  「営業第3係、藤田直子。」  「はい!」  名前を呼ばれた私は前に出て、周囲にお辞儀をした。課長席前からはフロアのすみずみが見渡せて、つい1係に目が言ってしまった。と、同時に、課長席から割りと近い席に座っている彼と、一瞬目が合ってしまった。  (ウッ、きまずい。)  そそくさと元の位置に戻りつつ、私はなんだか視線を感じていた。
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