第2章

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 ----------------------------------  「乾杯~!」  今日は4月も終わり。GW前にやっと開催された、3係の歓送迎会だ。13名の20~50代の係員に加え、50代の係長と、年齢幅が大きい。しかし、クレーム対応という特殊性から、係の団結力は、ルーティンワークで残業がない庶務係とは比較にならないほど強いと感じられる。  職場から歩いて5分ほど、駅近くの高層ビルの49階にあるフレンチレストラン「プロヴァンス」。ワインが美味しいと評判で、幹事の玲奈ちゃんがチョイスしたお店だ。時には結婚式の2次会にも使用されると言う、シックな雰囲気を醸し出している。20代後半、恋活にやっきになっていたころは、こんな感じのビストロにも訪れたなあ、と懐かしくなる。  転出者・転入者の挨拶をした後、自席で談笑する。玲奈ちゃんと高橋君は仲良さそうに話しており、クールな二人だけど、アフター5になるとこんな一面があるんだ、と興味深く観察してしまった。  私は、ここ数年お酒は飲まず、飲み会ではウーロン茶に徹している。この歳になっても、仕事終わりのビールの美味しさは理解できないため、乾杯の音頭で一口飲むだけだ。  「新しい仕事はどう?」 生ハムとルッコラのサラダをつまみながら、ぼんやり周囲の話を聞いていると、人事課に栄転した片桐さんに話しかけられた。小柄で170cmもないけれど芯の強そうな瞳の持ち主で、30代半ばくらい。経験者採用で仕事ができると評判の人だった。昨年3係では中心的な存在だったらしい。  
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