第2章

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 「う~ん、これからでしょうか。30代が私一人なので、ちょっとやりにくいところもあります。同年代の片桐さんが異動になって、不安かな」  「俺に代わるホープとして配属したって課長は言ってたから、係の中心的な存在となって、どんどん盛り立てていってよ。20代の若者はよく働くし。」  「ちょっとプレッシャーですよ。」  そう言いながら、片桐さんの左手を見る。薬指にはきらりと光る指輪。やはり、仕事のできるいい男はもれなく奥さんがいるのだ。  「そういえば、片桐さんはシステム担当もなさっていたんですよね。どんな感じですか?」  クレーム処理関係は何とかなるにしても、電子機器に激しく拒否反応がある私に取って、システム業務は精神的にかなりの負担となっていた。高橋君は教育係と言っても基本放置で、主任だから自分で調べられるだろうと言う態度を崩さない。  「俺も苦手だったけど、一から調べたなあ。前職でも経験なかったし。高橋はああいうタイプだから、意地悪で教えないんじゃないけど、やりにくいところあるでしょ。」  「分かってくれます?甘えだとは思うけど、もうちょっと説明してくれたらって思うときもあるんですよ。」  高橋君の放任主義についていけなさそうで、思わず愚痴がこぼれる。
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