第3章

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 GW。今年は曜日の並びがいいせいか、5連休となる。連休中はどこも高いから旅行には行かない。その代わり、毎年恒例、一人暮らしの部屋の大掃除と衣替え、友人とのお茶の約束、読書やDVD、音楽を聴いたりと、やりたいことはたくさんある。  しかし、連休2日目の今日は、高橋君にふられた仕事が終わらないので、休日出勤しようと朝から会社に向かっていた。  世間は連休を謳歌している人でごったがえしているのにな。電車内はすいていて、人もまばらだ。これから10時も過ぎると、都会に遊びに出かける人々でいっぱいになるのだろう。  9時前に会社へ辿り着き、守衛さんに挨拶する。別部署に何人か出勤していると言われ、私だけじゃないんだ、と心強くなる。  しかし、販売促進課のフロアがある4階は真っ暗だった。 (うちの課は私一人か・・・)  なんとも言えない物悲しさに襲われたが、連休だし当たり前と割り切って、証明を付け、自席にいきパソコンの電源を入れる。  そして、4月の顧客リストを広げ、エクセルに情報を落としていく作業を開始する。カタカタカタ・・・誰もいないフロアに、私が打つキーボードの音のみ鳴り響く。 (ほんとに、私って仕事女だよなあ) 一人で苦笑しつつ、リストをめくったところ、キャビネットの向こうで「チーン」と到着を告げるエレベーターの音が響いた。
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