第3章

4/13
前へ
/41ページ
次へ
 「ええ、月末の締めを月初にやるんですが、5月はGWが入ってしまうので。毎年出勤です。昨日も出ましたが終わらなくてね。」  私の心を知ってか知らずか、普通に話を続ける。  「藤田さんは異動されたばかりなのに、たいへんですね。」  「ええ、何分慣れないもので。ルーチンワークはともかく、システム作業が」 早く自席に行ってくれと思いながら、引きつった笑顔を返す。  「そうですか、片桐さんにも聞きましたが、苦労されているようですね。分からないことがあったら何でも聞いてください。」  「あっ、ありがとうございます!」 (片桐さん、話してくれたんだ)  心強さで胸が一杯になりながらお礼を言った。  「私も、今日で終わらせないと。それじゃあ」小池さんは、キャビネットの向こうに立ち去ったが、私の胸のドキドキは収まらなかった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加