第1章

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 「うわーっ」 3月初旬、係長から回ってきた異動内示を見て、頭がくらくらした。 先刻、課長から内線電話で、「本当にどこに異動してもいいんだね?」と念を押され、「仕事量が多く忙しい係ならどこでもいいです!」と答えたばかり。 それが、あまり社員が希望しないいわゆる不人気職場、「営業第3係」への異動という結果をもたらした。 私立でもトップレベルの女子大卒業後、都内の大企業に就職し、勤続9年。30歳独身、彼氏いない歴5年。 すっかり、男日照り、優先順位は仕事>恋愛と化した、アラサーのバリキャリ(?)OL。 そんな、私、藤田直子(フジタ ナオコ)。 25歳の時に、初めて付き合った彼に3ヶ月でふられてから、それなりに恋活をしてきた。けれど、つきあう=結婚を意識してしまう私にとって、新たな出会いもなかなかお付き合いへと進展せず。 もう仕事に生きてやろうかと、昨年末の課長ヒアリングで、仕事量が比較的少ない「庶務係」からキャリアを積むために他係へ異動希望を出したのだった。
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