第1章

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「営業第3係」。花形と言われる「営業第1係」、調整役の「営業第2係」と違い、お客様からのクレームに対応する部署だ。簡単に説明すると、1係ではお客様の新規開拓、2係では契約者への継続的なサポート、3係ではトラブル・契約破棄などへの対処を行っている。 そんな精神的にきつい仕事が、果たして自分に務まるのか、課長には「即戦力として期待しているよ」と言われたけれど、正直不安80%、期待20%というところ。 一つ安心したのが、以前同じ職場だった高橋君がいること。3係で全係員共通業務のクレーム対応と共にシステム担当も兼任している彼は、私より3歳年下だけど、なかなかしっかりした性格の青年だった。同じ課内とは言え、庶務係と3係には仕事上で少ししか関わりがなく、新係のほとんどが初対面の私に取って、顔見知りがいることは心強かった。 「決定したものはくつがえらない。自分で希望したことだし、まあやってみるか。」無理やり思考を前向きにシフトさせ、あと一ヶ月を切った庶務係の仕事を整理しようと、私は引継ぎ書を作成し始めた。
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