第1章

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 ---------------------------------- そんなこんなで3月も下旬。  都内でも桜が開花し始め、春の陽気で心なしかみんなが浮き足立っているように思う。そんな中、庶務係の後輩、晴美ちゃんと雑談中、課内のかっこいい男の子の話題になった。 晴美ちゃんは今年の新規採用、21歳。細くて長身、大人しくて引っ込み思案だけど、打ち解けるとたくさんお話してくれる可愛い後輩だ。 「晴美ちゃんは、課内で誰がかっこいいと思う?」 私は就職氷河期に入社し、数年間同世代がほとんどいなかった。しかし、今は経験者採用も増えており、20~30代の職員もかなり多くなっている。それなら恋愛対象もいるんじゃないかと思うかもしれないが、社内恋愛には興味がないため、課内の若手もまったく知らない。 「2係にかっこいい人がいます」 ちょっと、頬を染めて言いづらそうに小声で話す晴美ちゃん。 恋バナ大好きな私。 「え~。晴美ちゃんがどんなタイプ好きなのか興味ある。今から見に行こう!」 早速、ためらう晴美ちゃんの手を引いて、キャビネットで仕切られているフロア向こうの営業係へと繰り出した。
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