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ブスッ、先生の背中にボールペンを突き刺した。先生の背中が真っ赤に染まり、女が驚き、先生が振り返り、
「なが──せ?」
「おはようございます。先生」
笑いながら挨拶して、ボールペンを引き抜く。
「どうしたんですか。先生、朝、会ったらおはようございますって言うべきじゃないですか?」
カチ、カチカチ、カチカチ、ペロリと先生の血液で真っ赤に染まったボールペンを舐めて、ケラケラと口元が歪む。尻餅をついた先生が私を見ている。私だけを見ている。
「やっと私を見てくれたぁー、ずーっと見てたんですよ。先生ー、私だけを好きって言ったのに、他の女に手を出すなんて悪い人ですよねぇ。先生って、ウフ、ウフフ、ウフフフフフフフ」
「長瀬、なんで、こんな、俺は」
「許してあげますよぉー、私は心がとーても広いんです。ヒロインだけに、あ、ダジャレですねー、ねぇ、先生、笑ってくださいよー。笑えよー。ねぇ、ねぇ、ねぇ、嘘はよくないと思いますよね。先生?」
「う、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
先生が叫びながら走っていく。
「先生、待ってくださいよ」
私はずっと先生のことが好きだ。
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