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 正臣が少女に見とれている間に、友和はさっさと帰り支度を始めていた。 「寝る、食う、出すは生活の基本。怠れば体が壊れるってのが持論なんだろ?」 「は? な、でも……!!」  スーツの上から薄手のコートを纏った友和がポケットから茶封筒を取り出す。  それを無造作にカウンターへ投げた友和は正臣に片目をつむってみせた。 「どうやらこの子は正臣のことを気に入ったみたいだし、正臣の飯も気に入ったみたいだし? 気が済むまでここに置いてやってくれよ」  確かに少女の瞳はもう友和を映してはいない。  友和が席を立ったことに気付いているはずなのに帰り支度をする素振りを見せず、生気を取り戻した漆黒の瞳はひたと正臣を見据えている。
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