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最後の客を見送って、厨房を片付けていると、時刻は大体深夜3時を回る。
それまでの間に寝てしまうかと思っていたが、ことりは表情を変えることなくじっと正臣を見つめていた。
──一体、俺の何がそんなに面白いんだろうな?
正臣が普段寝起きしているのは、店の2階の狭い和室二間だ。
前の経営者はその二間を従業員の休憩室として使っていたようだが、正臣はそこに家財道具を運び入れて無理矢理自宅にしてしまった。
店が閉まれば、ことりをそこに連れていくしかない。
正臣は仕方なくことりを自宅へ連れていくと、ひとまずことりを寝室の布団で休ませて、自分は居間のこたつに滑り込んだ。
もう考えることも体を動かすことも面倒くさくて、カーテンを閉めることも、寝間着に着替えることも放棄したから、居間は昼の光に満たされていて、正臣は仕事着である作務衣姿のままである。
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