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正臣の言葉を受けたことりはソロリと敷居をまたいで居間に入ってきた。
無表情な顔にほんのりと笑みが浮かぶ。
「おはようございます、正臣」
鈴を振るような声というのは、まさしくことりのような声をいうのだろう。
ことりの言葉を受けて部屋の中にパッと光が舞ったような気がした。
──……まさかそんなファンタジーじみたことが実際にあるわけないか………
正臣はゆるく頭を振ると立ち上がる。
そんな正臣にことりはトコトコと近付いてきた。
「朝メシ……つーか、昼か、もう。とりあえず、メシにすっか」
「はいっ!!」
そして正臣の言葉にキラリと瞳を光らせる。
その分かりやすい反応に正臣は思わず苦笑をこぼした。
無意識のうちに伸びた手がことりの頭に乗り、ポンポンとさわり心地の良い髪を撫でる。
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