第1章

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 現実とは少し違う世界。  この世界では、物質と物質を融合させる不思議な『イヴァン』という鉱石が存在する。主人公、ゲミュート・マナーは謎の多いその鉱石を研究、取り締まる機関『ポリストリー』に所属していた。しかし事故に巻き込まれ、鉱石の力のせいで生まれてしまった生命体、クランケとアーベントを保護しつつなくなってしまった原材料の弁償をする羽目になってしまう。  酒屋でアルバイトをして地道に借金を返すつもりのゲミュートだったが、同僚のナイン・ノルマルからポリストリー本部だけでは手の回らない雑用を依頼される。報酬が高い代わりにリスクも高いその内容をクランケやアーベントとこなすうちに、家族のような不思議な絆が芽生えていく。  ある時、ナインからの依頼がぱたりと止まり、ナイン自身も姿を見せなくなる。不審に思い調べてみると、ナインは行方不明になっていた。さらに、今までポリストリー本部からの依頼だと思われていたものは全てナイン個人の依頼であることが分かったのだった。  ナインの居場所が伝染病の感染区域であること、そしてナインの目的を予想したゲミュートは家族とともにナインを助けに行くことを決意する。クランケとアーベントが感染区域の殲滅を担当していたポリストリーの職員を陽動している隙に、ゲミュートはナインとの接触を図る。実はナインも鉱石により普通の人間ではなくなっていたのだ。彼は自らの能力を使って伝染病を食い止めようとしていた。  ナインの手助けを行い、ゲミュートたちはいつもの酒場でアルバイトをしつつ借金返済にいそしむ日常に戻ったのだった。ただ一つ、ナインという常連客を増やして。家族のような奇妙な絆を感じていたのはナインも同じだったのだ。
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