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あの日、
薄暗闇の中で手にした一冊の本が狂気の深淵への片道切符になるなどとは知る由もなかった。
?ちょうど大学に入学してから2週間が経った頃だった。
兼ねてから興味を持っていた民俗学を専攻することになり、
また幼少の頃より神話や怪奇現象に漠然とした憧れがオカルト研究会への所属を促した。
?ようやく大学での一応の居場所の確保が出来たと思い、
大学近隣の探索でもしようと、
ぶらぶらとしていた。
この辺りには、
昔ながらの喫茶店や古書店などが迷路のような路地に立ち並び、
どこか懐かしい感じのする町であった。
まだ、
田舎から上京してきたばかりの自分にとっては、
ギラギラした大都会よりは幾分馴染みやすくはあった。
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