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「そのままのキミでイイんだよ」なんて優しい顔して言うけれど、ありのままのボクなんて、弱すぎて、弱すぎて、ボソッと潰れる、きなこの塊。だったから強くなったんだ。潰されないために。
泣かないことや、笑ってること、憎しみにかられないことを強さだと、正月がくることぐらい信じてる。
つつかれればへこむけど、その裏の、誰も見てないところでは、出っ張てるような、柔軟というか、軟弱というか、そういう餅みたいな粘り強さと、したたかさ、身につけたの。
なのに優しい顔して「そのままのキミがイイんだよ」なんて、卑怯だ。
焼けたら破裂し、冷えたら割れる、情緒不安定に、ようやく馴染んできたのに。のまれても、絡まって、キミの息の根止めるぐらいの覚悟は、できていたのに。
『きなこ餅』
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