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自分の存在を確めてるみたい。キミが髪をかきあげるたびに。けど、鏡で直しているときは髪じゃなくて本当は、偽物のキミだね。
添い寝してあげる。なにがしたいのかわからなくなったら。腕枕してあげる。どうすればよいのかわからなくなったら。
梅を見上げて「綺麗な桜ね」っていったキミがとても愛おしかった。"桜"でも別にかまわないと思った。本気なのか冗談なのかわからないまま笑っちゃったけど、そっと正してやりたいとも思った。
「あれは梅だよ。桜にそっくりだから、オレも昔はよく間違えたけどね。」
キミは瞳を丸くして、ひとつ髪をかきあげる。
『梅と桜』
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