ReplicA

40/40
前へ
/93ページ
次へ
桜がちって、空が青濃くなって、鳥がとぶ。飛行機がとぶ、ミサイルがとぶ、意識がとぶ、言葉がとぶ。空はほんとうにどこまでも自由だね。なんでも飛ばしていいみたい。私の分の制空権は奪われた。 発見せよかなしみ。傷つけ私。そこにしか芽がでない。腐れ私。たとえ酸素がとまろうと。傷め私。静かな夜、黴に降られながら。狂え私。ふるいにかけられ、目眩に襲われたら。 たやすく引き裂けてしまえ、ちぎれてしまえ。焦土の草木のように。キャタピラの轍にめりこんだ花々のように。あきらめろ私。ますます深く傷つけ私。そして、発見せよかなしみ。もうその傷痕でしか、詩のゆりかごを描けない時代であるかのように。 『発見せよかなしみ』
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加