第2章

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「お兄様方、今夜のご予定は?」 「はぁ……どなたのでございましょう?」 「そうだな。念のため全員分把握しておこうか」 また急に 突飛なことを言い出したと言わんばかり。 「それでしたら征司坊ちゃまはご学友と経済学の勉強会に、貴恵お嬢様は懇意になさっているファッション誌のエディターとご会食、薫坊ちゃまはコンサートのご招待を受けられてお出かけに、敬様は今夜は九条家の御親戚とお食事なさると仰っておられましたが……」 天宮家のトラブルメーカーを横目に そろそろと口を開く。 「つまり、全員いないわけだ?」 「――は」 「よろしい。実によろしい」 思わず口元が綻んだ。
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