日常

48/113
前へ
/136ページ
次へ
「例えば、お前が要先生のところに戻って、怒った衛さまに、ドスッと刺されたりすると、非常に厄介だから」 「心配しなくても、要のところには戻りません」  そういや、要、辞めるとか言いながら、結局、あのまま病院に残ってるな、と思った。 「それに、私が刺されても、また死体、消せばいいじゃないですか、要に頼んで。  大体、私はもう死んでる人間ですよ」 「『咲田馨』は死んではいないだろう。  失踪だ」 「失踪っていうか。  まあ、その戸籍を使ってないだけですけど」  病院から去らない要のことを言えた義理ではない。  私もまだ、新しい名前を決めかねているのだから。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加