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片腕を目に当て、泣いてるフリをした。
「訳は確か…九州の肥前(現在の佐賀県、長崎県)という所から友達が文(ふみ)を寄越してきたのを、京よりとても遠い所で見た。
その返事に紫式部が詠んだ歌…
あなたに逢いたいと思う私の心は、
あなたが住む肥前の松浦の鏡の神が空から見て下さっていることでしょう。
友達の辺歌(へんか)が、翌年に持ってこられた。
友達の歌は…
行き巡り待つという松浦の鏡の神は、誰のことを心にかけつつ祈っているのでしょう。
あなたの事を思っているのですよ。
互いが互いを想う、友情の詠…。ってまさかっ!?」
「そう友の事を想う歌は紫式部は少ない…。恋狂いの源氏物語が有名だからな。
紫式部が好きって言ったのは自分の状況と似てたから、ついそう言ったんだろ?」
「あはは、相変わらず、安直な奴ッククク。なっ?かんなちゃん?」
「たった1つ私が紫式部が好きって言っただけなのに…そんなのウソかもしれないのに。」
「あははは、そんな事 ウダウダ言ってると、真相に辿り着けないゼ?ツンデレちゃん?りゅうちゃんとっとと情報頼むよ。」
「あい、あい。」
りゅうちゃんはノートPCを開け、片手でスマホを扱い数人に電話していた。
「ワッフル屋の兄ちゃんが何をできるっていうの?モグモグ。しかもこんなおいしい…モグモグって早くきみかの状況を調べてよっ!」
かんなはギュッと両目を瞑り、そう言って俺達に噛み付いた。
が、りゅうちゃんは人とのネットワークがスゴい。
幼稚園から大学、留学先の友達、メル友、日本中、世界各地にホットラインがある。
まあ、友達情報屋ってトコだな、頼りになる1コ上の兄貴的存在だ。
「ゆうすけちょっと…。」
りゅうちゃんは手招きされ、耳打ちをした。
「ヒソヒソヒソ…ボソボソ。」
「フム…フム…なるほどねぇ~。」
俺はワゴン車からスタッと降りた。
「さあて、ツンデレちゃん、きみかちゃんの元へ逢いに行こうか?」
「えっ!!!」
かんなはパァッと花が咲いたように、表情が光り輝く。
「プッ クスクス…。」
俺はそんなかんなを見て笑い、かんなは俺の視線に気づき、
「別にあんたに言われて、きみかに会いに行くんじゃないからね!!」
「プッフフフ ハハハ。わぁーってるよ、お前が俺に頼んだんだろ?さて、親友へどんな手紙を綴ろうかね…。」
ってこんなやりとりをした。
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