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「ひえ~!?」
かんなはちょっと驚いて、俺と従業員を交互に見ている。
「おぼっちゃまって言うのは、もうやめろよなー ‘ もう あの家 ’ のもんじゃねぇしな。じいさんは今いるか?」
「しばらくこちらに、いらっしゃらないようです。」
「そうか…。んじゃあどこでもいいから一晩泊まらせてくんないか?」
「はいただ今ご用意を…。」
かんなはそれを見て、ポカーンとしていた。
「オイ、ほら行くゾ。」
俺は先に旅館の入り口に向かおうとサッと歩き、
「…待ってよ!」
かんなは俺の後に付いて、その旅館に入った。
旅館の部屋 ── 光琳の間 ──
「ちょっと!!あんた私よりお金持ちなんじゃないのー!?この旅館、パパと何度も来た事あるけど、
この間はこの旅館の中でも最上級の間で、いつも予約取れないって!」
「ああそんな部屋らしいけどな…なかは質素だろ?他の間の方が豪華だゼー?」
「うん、言われてみれば…。確かに…。」
そこは通常の部屋よりすごく狭く、露天風呂もあるケド庭も狭く、
木材にニスさえも塗られてないので光沢もなく、なんだかボロ屋みたいだった。
「俺はこーいうボロは好きなんだよ。最上級とか…どうでもいいんだけどな…。」
「って、お金持ちのくせに、なんでこんな仕事してるのよ…。」
「あー?親が金持ちだけど、俺は関係ねぇし家を出てるしな…。親のコネは使わないが、ここは俺の好きな場所だかんな…。
こんなトコ連れてくるの特別だゾ、ツンデレちゃん。」
「えっでもそれじゃあ ココ も親のコネなんじゃあ??」
「ちっがーう、ここはじいさんのコネだ!フン。」
と言って俺は鼻息を荒くした。
「あは、あんま変わんないよ クスクス。」
「おーやっとツンデレちゃん 笑ったなぁ…女の子は笑顔が一番。ニッ。」
歯を見せ笑いそう言う。
「…ダサッ。」
俺はまたかんなにスパッと言われ、
「ツンデレちゃ~ん。」
アホみたいに嘆いていた。
「んじゃあ…温泉浸かったら、本題に入りましょうかね…。」
かんなは
『やっとかー。』
という言葉が飛び出しそうなくらい、胸を撫で下ろしていた…。
「さてと、風呂も入りましたし…。」
二人は湯気で、ポカポカしていた。
(ちゃんと別々に入ったよ、一応。)
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