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俺は立ち上がり、片手で頭をポンと撫でながら、ニカッと笑った。
「なっ?ツンデレちゃん?」
「フン。あんたに言われてじゃないもん!!きみかの為だもん。べー。」
かんなは舌を出しながら、スタスタと家の前まで走ってった。
インターフォンを鳴らそうとすると、黒服が話しかけてきた。
「どなたです?」
「…きみかちゃんの友人の岡崎かんなです。ちょうどこちらに家族旅行に来ていたので…直接会いたくて…。
きみかちゃんはいらっしゃいますか?」
「あのお嬢さんのねぇ…。」
黒服は、トランシーバーのようなもので、内部とやり取りしていた。
「…了解。」
そしてまた、サングラス越しに私をジッと見て、
「帰って頂けませんか?ここのお嬢さんは、岡崎かんなという友人はいないと…申し上げていますので…。お引き取りを…。」
「はぁ…ゆうすけといい、友人の家といい…こんなんで私は引き下がらないんだからねっ。」
そう言って私は全力疾走して、家の中に入った。
「あっコラ!!『ガキが家の中に侵入しました。繰り返す、女のガキが家の中に侵入しました。』」
子供の私はやはりすぐ捕まった…。
両腕を持たれて拘束される私…。
「ちょっとー!!本当になんなのよー!!きみかー!!!出てきなさぁーい。」
私は喉がはち切れそうなぐらい、叫んだ。
「静かにしろ、ガキに手荒なマネはしたくない!!」
黒服は、大きな声で言い、片手で私の頭を地面につけた。
「もーなにがどーなってるのよー!!」
私はもうわけが分からなくて、雄叫びのように叫びまくった。
そこに、やっと やっと やっと 本命が登場した、きみかが目の前に現れた。
地面にひかれてる砂利を踏み、ザザっと音が鳴る。
「…フン。何しに来たのよ。」
「何って、別にきみかに会いに来たんじゃないからねっ。聞きたい事があったの…。」
「聞きたい事?それでわざわざ東京から佐賀まで?ハン、お金持ちはやる事がスケールでかいねぇ~。」
「そんな事どうでもいいっ!!この手紙を読んでっ!!!」
そう言ってカバンから必死に便せんを出した、小さな私の力の限りに…だけど手渡すまで届かず、地面に落ちた。
「…私はあんたと友達なんかじゃない!!さっさと帰ってよ!!」
きみかは荒んだ目線で私を見降ろし、手紙を踏みつけた、グシャッと…。
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