messeage1 何れも求めようとも 月夜には敵わない

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ここは間借りしてるマンションの一室。 いつも通りに俺は、ソファに寝転がり、足を組みブラックコーヒーを啜る。 そして、いつものようにドアの音がカチャッと鳴る。 「今日も、依頼人連れて来たよー。」 「あんたが持ってくる依頼は、ロクなもんじゃねーだからヤダ。」 俺は ‘ ウチ ’ の常連客、岩泉りりあに向かって吐き捨てた。 「そんな言い方ってヒドくなぁい?」 「…フー。まぁあんたの依頼をお聞かせ願おうか?お嬢ちゃん?」 俺は起き上がり、股を開いて座り、手を組み、両肘を両膝に乗っけて、りりあの隣にいる、小さな女に言った。 「う…私っお嬢ちゃんじゃないもん!もう19歳だし…。」 「タメかよ!!ちっちぇ~なぁもう少し可愛いさがあったら合格だったのによ。」 すかさずりりあが、 「合格ってナニよ…。」 とツッコむ。 女はむぅっとした顔で、 「りりあちゃんコイツ大丈夫なの?こんな失礼でガキな奴に頼んでっ!!!」 『こんなに初対面の奴に言われる俺って…。』 心で泣いている間にりりあが、 「あははは、大丈夫、大丈夫。脳内細胞はクソガキだけど、依頼(しごと)はちゃんとする奴だからさ。」 かるーく笑い飛ばしながら、ポンポンと女の肩を叩いた。 女はちょっと腑に落ちない感じで、口を開いた。 「好きな人がいて、ラブ…恋文を代筆してほしいの…。」 「プッ今時…ラブレター?声に出して告ればいいだろー?だから女の依頼はイヤなんだよな~。」 「ナニコイツ!?それも出来ないから、ラブレター書こうと思って、レターセット買ったケド、文章が思いつかないから、 こんな事って分かっていても、頼みに来たんでしょーが!!バーーカーー!!!ハァ、ハァハァ。」 『…顔真っ赤にして、必死にキレて本気(マジ)だねぇ~。ヒュ~。』 俺は、心の中で女を讃える口笛を吹き、女は叫び過ぎて息を切らした。 「フーン。左様ですか。まぁゲンコー謝礼は5万ですねー。値引きしないからねー。お嬢ちゃん。」 「引き受けてくれるの!?」 女の顔はパァッと輝き出し、目もキラキラしていた。 「でも高ーい、それにお嬢ちゃんじゃないし…。」 「あ?俺、おじょーちゃんの名前知らねぇし。」 「‥あんなよ、毛瀬(けせ)あんな!よろしくお願いします。ペコ。」 いきなり礼儀正しくしたあんなに、俺は笑った。
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