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「ちょっと!油ぎってない?」
あんなは封筒をクルクルと見回した。
カサッと開けて見るなりあんなは、驚いていた。
「ッ!!すごっ!!私の字にソックリ。」
「あったり前だろー、それはお前が書いたようなもんだからよ…。」
俺は、見た相手の字を、真似る事ができる能力も持っていた。
そして俺の造ったラブレターを読んでる間も、俺はムシャムシャと2枚目のトーストを完食した。
ブラックコーヒーをズズと、喉を落ち着かせながら飲んだ。
すると、ポタ…ポタポタポタ…。
あんなは涙で頬を濡らした。
「なっなんで…どうして…私が想ってる事…私がききへ伝え…たかった…事、わかったの!?うううっ。」
「…。」
俺はソファの上で足を組み、遠くを見るよう目を細め、静かにあんなの言葉を聞いていた。
そして、立ち上がって、あったか~いミルクティーを差し出した。
「まぁ、飲め、落ち着くし、ウメぇゾ。ニカッ。」
俺は、歯を出しながら笑った。
「…ふぇ~ありっがとぉ~。夏なのにホット…ズズ、でもおいしー…。」
こんなサラッと書いた文に号泣されると、さすがの俺もちゃかしにくいな…、恋する女ってスゲぇんだな、なんも言えねぇよ。
「フッ。」
俺も嬉しそうに、静かに笑った。
「うっグス…ありがと、落ち着いた…。」
あんなはハンカチで涙を拭きながら、そう言った。
「ホントに、ゆうすけ君ってスゴいんだね…このラブレター感動しちゃった…。まるで、内容も私が書いたみたいな…。」
「あたり前だ、俺様は文の天才ですが、ナニか?フッ。」
俺は自分の顎に人差し指と親指を添えて、決めポーズを決めた。
「クスクス。何十年前のポーズだよ。ハイこれ、謝礼の5万。」
「はぁい、あざーす。ありがたく頂戴しま~す。」
金の入った封筒に手を伸ばそうとすると、パシッと手首を捕まれる。
『ニコッ。』
あんなは笑う。
「えっ!?ナニ!?」
「最後に、私の恋の結末を見届けてほしいの…。」
「なんで!?」
俺はビミョーな顔をする。
「なんか、ゆうすけ君が見ててくれたら、ウマくいくような気がして…。」
「なんか…めんどくせぇな…。仕事範疇外(しごとはんちゅうがい)だし、気が向いたらな。」
「そっかぁ…。」
あんなはちょっと残念そうな顔をする。
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