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「何故わかるかって?それは僕が特別な鳥だからですよ。僕にはわかるんです。
家を出て以来、世間の冷たさが身にしみてわかりました。そして悟ったのです。
僕はオンリーワン、いやむしろナンバーワンなのだ。だから、一般チョープル(※一般ピープルの鳥類的な呼び方)に妬まれ、阻害されるのだと。
ここ数ヶ月の間に王族の卵が行方不明になったから探してくれとか、そういった極秘の依頼がどこかの国から来てはいませんか」
黒猫は、手入れの行き届いた立派なヒゲを撫でつけながらもっともらしく言いました。
「たとえ何らかの依頼が来ていたとしてもこちらには守秘義務がある。
ところでおまえさん、依頼料はどうする気だい?見たところ文無しのようだが」
「そ…それは…、」
「何、心配ご無用、ウチの事務所は物々交換・現物納入大歓迎だ。例えば若鶏高級モモ肉一本から、ってんでもね」
黒猫は気持ちの悪い猫なで声で話しながら、爛々と光る瞳でアヒルの子を舐め回すように見つめました。
それはパワハラとかセクハラ、なんて生易しいレベルではありません。完全な補食者の眼です。
アヒルの子はさすがに背筋が凍りつきました。
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