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「なに言ってんですか。あたしが……」 『あたしがフッてやったんです』って言おうと思った。 いつもの自分ならそれくらい言えたはず。 だけど……。 予想以上にあたしの心は傷ついていたみたいで。あっという間に視界が滲み涙が溢れた。 「マジか……。ってか泣くなよ」 彼が困っているのはわかっていた。だけど泣き止まなくちゃと頭の中で思えば思うほど、次から次へと涙が溢れ止められない。 するとカウンターから出てきた彼はあたしを周りから隠すように隣に座り、優しく肩を撫でてくれた。 「……ごめんなさい」 涙が止まり鼻を啜りながら謝るが、泣いてしまった恥ずかしさから気まずく先輩の顔が見れない。 「明日暇?……暇だよな。9時に駅に来いよ」 それだけ言うとバンバンと背中を数回叩き仕事に戻っていった。
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