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「それにしても相変わらずちっせーよな」 彼は隣を歩くあたしの頭を大きな手でポンポンと叩いた。 そして下ろした手があたしの手に触れると、暖かい手があたしの手を包んだ。 そのまま前を見て歩く先輩と手を繋いでだまま足を進める。 「やっぱりこっちはいいですね。空気は美味しいしご飯もお酒も美味しいし。それに……優しい人もいる。またお店行ってもいいですか?」 「おう。お前の腹を満たす飛びっきりうまいもん用意しとくからな」 「期待してます」 またがんばろう。 しばらく恋はしなくていいと思ってたけど、新しい恋が間近に来ている気がした。 恋をしてキレイになろう。そしたらこんどはあたしから……。 そっと彼を見上げた。 【終】
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