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季節は春。
長き暗いトンネル。
受験と言う苦行を潜り抜け、春休みを謳歌している俺だったが…
親友であり悪友である守 堅悟と別れ帰宅した時、それは起こった。
っか…
俺は、バンッとテーブルを叩き告げる。
「ざっけんなよっ!
俺は高校受験に成功して合格したばかりだぞっ!」
あ~
腹が立つ。
帰宅してリビングへ入ったら、全員が揃っていた。
姉きはバイトで遅くなる筈だったのだが…
何故か居る。
妹は今日は家に居る事になっていた筈だ。
だから不思議では無い。
一番不思議なのは…
親父。
この時間は、まだ会社の筈なのだが…
何故、此処に居る?
リストラか?
嫌な考えが、頭を過ぎる。
だが実際は…
「海外転勤だ。
無論、家族で行くからな」
いきなりの爆弾宣言である。
場所はアメリカのカルフォルニア。
はい?
周りは英語と言う呪文を唱える毛等共が巣くう地!
なんで、あんな所へ!
それで、冒頭の様にな。
「アチラで高校は9月からだぞ。
今から勉強すれば、十分に間に合う」
だから…
「ふざけんなっ!
頑張って試験勉強して合格したのに、また試験勉強しろってかっ!
俺は絶対に嫌だからなっ!」
「いや…
家族なんだからなっ!
一緒に行くのが当然だろ?」
親父…
どう言う理論やねん。
「大体、姉きと静香はどうなんだよっ!」
どうせ2人も反対だろ?
「あら?
私は大賛成よ。
元々アメリカにホームステイする費用をバイトで稼いでたんだからね。
渡りに船だわ」
いっ!
「私も良いかなぁ~
だってさ、だってさ。
カルフォルニアだよっ?
ディズニーランドがあるんだよ。
大規模らしいの。
早く行きたいなぁ~」
こ、こいつ…
ディズニーランドで釣られやがったのか?
「おまえ…
言葉はどうすんだ?」
アチラは…中略。
「それにアメリカだぞっ!
銃が乱射され、鋲を打った革ツナギを纏った大男が、ハーレーを乗り回してんだぞ。
モヒカンや刺青やろうがタムロしてんだ…
そんな魔界じみた所へ行けるかぁっ!」
思わず、ゼハゼハとな。
「いや…
どんな妄想を抱いてんやねん」
親父からな。
失敬な。
「兎に角!
俺は行かんかんなっ!」
兎に角、突っぱねましたよ。
はい。
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