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母さんはニコニコして静観。
何が楽しいんでしょうか?
「行かないのは良いけど…
住む所は、どうするのかしら?」
へっ?
母さんから、にこやかに告げられました。
「いや…
此処に…」
「あら?
此処は賃貸だから返すわよ。
アメリカへ引っ越すんですから、当然でしょ」
いいっ!
高校に寮などない。
ピィ~ンチってか!
「いや、でも《ピィ~ンポ~ン》
チャイムに被せられるって…
「あら?
誰かしら?」
母さんが出る。
くっ!
今の内だ。
考えろ、考えるんだ、俺。
英語なんて唱えるサバトの国へなんか、行ってたまるかっ!
って考えてたら…
「え~じぃ!」
あらら。
婆ちゃん、登場。
不動産経営している遣り手なんだよなぁ。
小金持ちだから、良く小遣いとかくれたりな。
ただ…
跡継ぎの親父が不動産家業が嫌ってな。
会社勤めで家を逃げ出した事は有名らしい。
それでも何れは会社を辞めて跡をってな。
そっかぁ。
俺にとっては救世主。
婆ちゃん、ガンバれっ!
「アメリカへ行くそうだが…
例の話、忘れたとは言わせないよっ!」
バンッってテーブルを。
うん。
流石、俺の婆ちゃん。
やる事が似ている。
親父は苦虫を潰した様な顔だな。
「あの話…
まだ生きてんのかよ」
「当然さね」
何の事だろね?
「アンタが跡を継がないなら、代わりに息子が継ぐ。
そう言う約束だったかんねぇ」
は…いっ?
息子って…
あれだよな。
俺の事だよな。
い~やぁ~
「そんなん聞いてないぞっ!」
勝手に人の人生を決めるなよなっ!
「当たり前さね。
高校卒業時に伝える約束だったからねぇ。
それをどうだい。
アメリカなんてサバトの呪文を全員で唱えている様な国へさ。
大事な跡継ぎをやれるかい!
しかも、日常的に銃が乱射…中略」
いや…
流石に俺の婆ちゃん。
思考が全く同じやん。
っか…
昔から考えが似てたなぁ。
思わず遠い目に。
「ちょうどアパートで空きがでてる。
一弘。
アンタ、その部屋に住みな。
なぁ~に。
アンタが通う高校からも近い。
寮母も居るから飯も出るわさ。
家の古くからの従業員さね。
安心だろ?
そしたらサバトの国に行かなくて済むしね。
そうしな」
強引に決められました。
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