立ち位置2

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上森さんが、返答を迫る。 どうしよう。 いや… 確かに… こんな美人に交際を。 「ちょっと待ってくれ」 固唾を飲んで、俺達を見守っていた連中が、「えっ!?」っう顔に。 野次馬、ヤメイ! 「確かに上森さんは綺麗だ。  俺の知ってるアッちゃんを、俺は好きだった。  振られたって凹んだしな。  けどな。  俺は今の上森さんを知らない。  だから即答できかねる。  俺は容姿で人を選びたく無い。  しばらく、友人として付き合ってからの返答でも良いかな?  上森さんも、今の俺を知らないだろ?」 確かに美人でモデル。 以前から俺を慕ってくれてた様だ。 だがな。 俺は今の上森さんの事を何も知らない。 そんな俺が即答できる訳無いだろっ! ヘタレ? 優柔不断? 何とでも言えっ! 「ふふっ。  ヤッパリ、カー君は変わらないなぁ。  みんな、私の外見を見て近付いて来るのに…  あの時だって…  私の容姿で近付いて来る子ばっかりだったわ。  そんな子達は、野犬が現れたら逃げて行ったのに…  突然公園へ現れて…  助かった後も。  「助けに入ったのに不様だよなぁ、俺」って言った後…  「じゃぁ、気を付けろよ。   響香姉さん、行こうか」って行こうとするのよね。  言って無かったけど…  あの頃、既にモデルの仕事をしてたの。  そしたら変な追っ掛けが現れてね。  お婆ちゃんの所に逃げて来てたの。  犯人が捕まったから帰ったんだけど…  私を私として見てくれたのは、アナタが初めて。  今迄で和美ちゃんとカー君以外の人は、モデルのアキナか、容姿でしか見てくれなかったわ。  そんなアナタに、私が惹かれ無い筈が無いじゃない」 そんな、大袈裟なっ! 「上森さんは上森さんさ。  そんなの、俺だけじゃないぞ。  なぁ、堅悟」 ったら… なんだか堅悟が戸惑って… 「いや。  俺、無理。  ヤッパリ美少女としてしか見れん。  ヤッパ、おまえ家の環境のせいじゃね?」 へっ? 「俺ン家って特殊か?」 普通の家だった筈だが? 「あのなぁ。  モデルのキララとモエを姉と妹に持つヤツを、普通とは言わんと思うのだがな」 「そっかぁ?  別に2人は公認のバイトをしてただけだろ?  2人のバイトと家が、どう関係すんだ?」 訳、分からん???
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