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辺りが真っ暗になり何も見えない中、それでも私は亡霊の様に歩いた。 このまま闇に消えてしまいたい。 そう思いながら歩く。 目が慣れてきて、消えそうな星の光で青く見える空。 「ねえ、一緒に死にませんか? 私二人なら死ねる気がするんですよ。」 さとりがゲタゲタと笑い呟いてくる。 それでも私は突風で飛び散る桜の中を進む。 「お燐様、田舎に行っても野蛮人しかいませんよ? 汚されて死ぬだけですよ?」 さとりが段々と震えた声になる。 勿論私も怖い。追い討ちをかけるように鳥のきょらきょらとした叫びがする。 「ねえお燐様! どうなされたのですか! 消えたいんじゃないんですか? お燐様、お燐様!」 涙が溢れてきていた。今まで理想としてきた終わりが私に本当に来ている。さとりの声をしてやってくる。 ねえ様達も、お父様もきっとこんな目に遭うことなんて考えてすらいない。 木々の間を抜けて、ズブズブ夜の青い中に入るため、ほとんど動かしたことのない足を必死にうごかす。 私は政治の道具にすらならない塵。身代わりにはなれる塵。 金なんて私には関係ない。家族なんて道具には関係無い。 「お燐様あああ! 怖いですよお、辞めましょう? 帰りましょうよ! また死んだように生きていれば良いんですよ! 運が良かったら殺して貰えるんですよ! お燐様ああ!」 さとりが泣き出した。一人では死ねない悲しくて腐っている嫌いになれない私の半身。 「お燐様あああ!」 青い空が真っ白けてゆく。 先には馬小屋の様な建物が沢山連なっていた。 目的の地だった。 いつも終わりばかり考えていた私 は、
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