第1章

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 屋上のヘリポートでは、天上院紫子専用のプライベートヘリが、いつでも飛べるよう轟音を立てながらプロペラを回していた。 紫色の見事なロングヘアーをなびかせ、紫子がかけ出してくる。 一瞬、制服のスカートが強風にめくれたがすぐに手で押さえた。 しかし、すぐ後をかけていたジョルジュは、その一瞬を見逃さなかった。 ちらりと覗いたラベンダー色のパンツを… ジョルジュは緩みかけた表情筋を引き締めなおしたのだが、もともとフレンチブルドックなので顔はたるみきっている。 ひょっとしたら意味がないのかもしれない。 しかしここは気持ちの問題なので、しっかりと顔を引き締めた。 紫子とジョルジュが飛び乗ったと同時にヘリは離陸を開始した。 自家用ヘリといっても軍用で、天上院家特製の超音速ヘリである。 世界最強といわれているアメリカ軍といえども、ここまで高性能なヘリは配備していない。 その飛行性能の自由度はЮФОといっても過言ではないのだ。
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