第二章

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「私は約650年先の時代から、時を越えてやって来ました」 「……ふざけて」 「ふざけてなんかいません」 夜の真剣な表情に、口を挟みかけた土方も渋々と黙り込んだ。 「時を越えるなんて出来るの?」 変わりに問う沖田に頷く。 「道具があるのです。行きは専門家が送ってくれますが……」 そう言って、夜は懐からある物を取り出す。 「帰りは自分で帰らなくてはいけませんから、これを使います」 「これでか? どうやって使うんだ?」 薄い黄色の球体は掌に乗せられる大きさで。 手を伸ばした永倉だったが、触れることなく懐へ仕舞われる。 「今の時代の人には使えないように出来ていますから」 「壊れたら帰ることが出来なくなるんじゃねぇの?」 「そう簡単には壊れませんよ。それに、“壊れたら”帰るんです」 「凄いな!」 未知の物体に目を輝かせる近藤。他の皆も興味津々と言った様子だ。 あの山南も、夜への疑いが晴れたのか、楽しそうだった。 「……そんなこと、どうでもいいんだよ」 唯一、土方だけは不満そうだったが。
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