第八章

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過去へわたる手段は現状、夜が元いた研究所の技術を利用するしかない。 だが、研究所がそう簡単にその技術を手放すわけがないし、仮に狙うものがいたとしても、返り討ちにあうのが予測できる。 (詩織がいるもの……そう簡単に、研究所そのものは揺らがないはず) 彼女の実力は本物だ。 きっと夜が全力で戦っても、互角に等しいだろう。 (……安心、の筈なのに…………どうして、こんなにも胸がざわつくの) 何故か落ち着かない。 まさか、詩織が負けるというのか。 (……そんな事ができる人物……ごく僅かだわ) 一人は夜。 互角に近いとは言え、実力はまだ上だった。 そしてもう一人。 (……それこそ有り得ないわ。彼は日本にいないのだから) わざわざ来るだろうか。 否、否定しきれないからこそ胸がざわつくのだろうけど。 有り得ない、大丈夫と。 ただ、心を落ち着けるために心中で呟いて。 (とにかくまずは、辻斬りの件を何とかしないと) 頭を切り替えたのだった。
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