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「私は約650年先の時代から、時を越えてやって来ました」
「……ふざけて」
「ふざけてなんかいません」
夜の真剣な表情に、口を挟みかけた土方も渋々と黙り込んだ。
「時を越えるなんて出来るの?」
変わりに問う沖田に頷く。
「道具があるのです。行きは専門家が送ってくれますが……」
そう言って、夜は懐からある物を取り出す。
「帰りは自分で帰らなくてはいけませんから、これを使います」
「これでか? どうやって使うんだ?」
薄い黄色の球体は掌に乗せられる大きさで。
手を伸ばした永倉だったが、触れることなく懐へ仕舞われる。
「今の時代の人には使えないように出来ていますから」
「壊れたら帰ることが出来なくなるんじゃねぇの?」
「そう簡単には壊れませんよ。それに、“壊れたら”帰るんです」
「凄いな!」
未知の物体に目を輝かせる近藤。他の皆も興味津々と言った様子だ。
あの山南も、夜への疑いが晴れたのか、楽しそうだった。
「……そんなこと、どうでもいいんだよ」
唯一、土方だけは不満そうだったが。
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