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過去へわたる手段は現状、夜が元いた研究所の技術を利用するしかない。
だが、研究所がそう簡単にその技術を手放すわけがないし、仮に狙うものがいたとしても、返り討ちにあうのが予測できる。
(詩織がいるもの……そう簡単に、研究所そのものは揺らがないはず)
彼女の実力は本物だ。
きっと夜が全力で戦っても、互角に等しいだろう。
(……安心、の筈なのに…………どうして、こんなにも胸がざわつくの)
何故か落ち着かない。
まさか、詩織が負けるというのか。
(……そんな事ができる人物……ごく僅かだわ)
一人は夜。
互角に近いとは言え、実力はまだ上だった。
そしてもう一人。
(……それこそ有り得ないわ。彼は日本にいないのだから)
わざわざ来るだろうか。
否、否定しきれないからこそ胸がざわつくのだろうけど。
有り得ない、大丈夫と。
ただ、心を落ち着けるために心中で呟いて。
(とにかくまずは、辻斬りの件を何とかしないと)
頭を切り替えたのだった。
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