405人が本棚に入れています
本棚に追加
反応を見せない夜。
「我々の誤解で、君に大きな迷惑を与えてしまった。本当に申し訳無かった」
「近藤さん」
夜が呼び掛ければ、近藤は頭を上げて夜を見た。
「私は……身分も、性別も、何もかも隠して皆に偽っていた、ただの小娘です。そんな私に頭を下げるのですか?」
「ああ」
近藤は目を伏せながら言う。
「完全に此方に非があるのだから。それに……女の身でありながら、それほどの実力。そして君の容姿も、何か理由があるのだろう?」
「それを聞かせてもらわないことには、話は進まねぇな」
「土方!」
夜は微かに眉を寄せた。
それは、不快に感じたからではなく。
(土方?)
違和感を抱いたから。
以前は“歳”と呼んでいた筈だ。
何かあったのかと疑問に思う。
だが、二人を見てみても関係が悪化しているようには見えない。
ただ、呼び方が変わっただけで、それ以外の異変はないのだ。
(ま、いいか……)
この事については一旦頭から離しておくことにして、夜は口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!