第二章

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疑っているという態度を隠そうともせず、夜への尋問を続けた。 「仮にその話が本当だとして、此処へ来た目的は? 何故実力や本性を隠していた?」 「そうですねぇ。先に二つ目の質問ですが……」 クスリと微笑んだ夜は全員を見回す。 「隠した方が入りやすかったからですよ」 「どういうこと?」 「ふふ、すぐに仲良くなれたでしょう?」 (特に貴方とは) 目が合えば、沖田のその真珠のような真っ黒な瞳が少し揺れた。 その視線を遮るように。 「てめぇ、間者か……!」 立ち上がった土方が鯉口を切って夜を睨み付ける。 「こんなところで抜く気ですか?」 「……」 夜の質問に答える気は無いらしい。 一触即発の雰囲気が漂うが、夜の中で焦りはなかった。 「何か勘違いしているようですが、私は貴方達に危害を加える気は一切ありません」 寧ろ、と続けたところで一旦言葉を切る。 「新撰組を救え」 「は?」 「その命令の下に、私は今此処にいます」
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