第二章

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新撰組を救え。 恐らくこの言葉の意味を真に理解できる者は居ない。 否、時間を掛ければ感付くだろうが。 「私の目的は貴方達を救うこと」 「……」 誰も、何も言わなかった。 夜の言葉を頭では理解しても、心が受け付けなかったのかもしれない。 「我々は…」 土方ですら言葉を失ったなか、口を開いたのは。 「…残らないのか?」 斎藤だった。 声に出さずに夜が頷けば、今度は永倉が渇いた笑いを漏らす。 「嘘、だろ……? だって俺達は今……やっと認められてきて…」 「残念ですが……新撰組は消えていく組織です」 これ以上告げるのは酷だと判断した。 ただでさえショックを受けているのに、幕府までが無くなると言えば、状況は更に悪化するだろう。 (まずはこの重い空気を払拭しなくちゃ…) 続けて口を開こうとすると。 「消えるか、消えないか?」 地を這うような土方の声に、思わず口をつぐんだ。
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