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「…正直言うと、」
しばしの沈黙の後、先輩が話し始める。
プライベートで、先輩から話し掛けてくれることはレアで、その度に私は、耳に神経を集中させていた。
「この花火さ、今日、アイツと来る予定だった。」
アイツ、というのはきっと、彼女さんのことで、
来る予定“だった”、という言い方になにか含みを感じた。
「去年、一緒来て、ここで花火見た。」
…っ、
だから、ここの公園を知っていたんだ。
本当は、今、先輩の隣にいるのは私じゃなかったんだ、ね。
「昼に、メールきて、ドタキャンされた。まぁ、アイツ仕事してるからね。」
あ、痛い…
彼女さんの話から、その存在がリアルに感じられ、ズキン、と胸に何かが刺さったように心が痛くなった。
……何か、相槌をしなくちゃ。黙ってたら、涙が出てきちゃうよ。
「お、仕事されてる、なら、お忙しいんですね」
なんとか返事をして、鼻をすすった。
「ほんとに仕事なんだか……。定かじゃないけどね。
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