第1章 condition

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彼と出会ったのは、大学に入学してからだった。 サークルの、2つ上の先輩。 第一印象は、「爽やか」。猫っ毛のように柔らかい毛をワックスで整えた黒髪が、風になびいていたから。 笑った顔には、どことなく少年のような面影があり、長身の体型とのギャップがよかった。 性格はマイペース。よく喋る方ではないけど、 「理玖、」 「理玖先輩っ」 「りーくー!」 こんな風に、いつも、いろんな人から名前を呼ばれる先輩は、サークルの人気者だった。 ひそかに私も憧れていて、飲み会のとき、隣に座ってみたりもした。 話し掛ければ、応える。 ふつーの、先輩後輩の関係だった。
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