第1章 condition

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―――彼女、いるのかな? そんなことを考え出したってことは、先輩のことが、好きなのだろうか。 「え、理玖の彼女?」 同じサークルの正樹先輩に、聞いてみた。彼と理玖先輩は、高校からの付き合いらしい。 「…、いる、けど、」 そう、しどろもどろに答えた正樹先輩。 もしかして、怪しまれた、とか。いきなり私が、こんなこと聞くから。 「あ、友達が、理玖先輩のこといいなって言ってて、それで…」 苦し紛れの嘘。だけど先輩は「そうなんだ」って言ってくれた。 「この大学の人、ですか?」 聞いた後、しまった、と思ったけど正樹先輩は「違うよ、」と続ける。 「あいつらは、高校から付き合ってんの」 にこりと笑った正樹先輩の顔は、いつもと違うような気がした。 「正樹先輩も、彼女さんのこと、知ってるんですか?」 またまた、しまった、と後悔。こんなことまで突っ込んではいけないような気がしたから。 「知ってるよ、」 そのとき、先輩が「正樹~」と呼ばれたから、この話は終わった。 先輩は声の主の方へ行く前に、 「俺が言ったこと、理玖には言わないでね、あいつ秘密主義だから」 と私の耳元で笑って言った。
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