第1章 condition

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「お疲れ。」 「……!」 更衣室を出た私を待っていたのは、理玖先輩。 今日2度目の不意打ちに、また声が出なくなった。 「あげる。」 と、ペットボトルの紅茶を渡された。 「あ、ありがとうございます…。」 かろうじて出た言葉は少しかすれていた。 先輩に、何かもらうなんてことなかったから、ちょっと驚いた。 まじまじとペットボトルを見ていた私に 「紅茶キライだった?」 と、勘違いした先輩が聞いてきた。 いいえ、と否定し、 「先輩が、いつもの雰囲気と違う感じがして…」 と言葉を並べた瞬間、後悔した。 私は、先輩の何を知っているんだ、と。 ばつの悪そうな顔をする私に対して、先輩は笑った。 「うん、よく言われんだよねー。バイト先に友達来ると、同じこと言われる。そりゃ仕事だし、背筋は伸びるよね。てか、俺って、普段そんなにだらし無く見えてんのかな?」 そう呟く言葉に、全力で首を振った。 「普段の先輩も、いい、と思います。」 本心だった。マイペースで、たまに面白いこと言って笑わせたり、サークルのみんなから好かれていて、羨ましかった。 「はは、ありがと、」 なんだか流されたような返しだったけど、先輩の次の言葉で、私の心臓がまたドキドキいう。 「あ、そうだ、葉月の連絡先、教えて。」 …え、 「ここのバイト、基本的にシフト交代自由だからさ、なんかあったときのために。」 あ、はい、そうゆうことですか。 でもま、理由はどうあれ、理玖先輩の番号とアドレスをゲットしたことに、自然と笑みが浮かんだ。
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