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その日も僕の携帯に妹の友達から電話が掛かり、わざわざ町はずれの公園まで赴くこととなった。
相手は他校の六年生男子らしいが、なにも二年生なんか標的にしないでもいいのに。
急いで駆けつけると、妹は尻餅をついた状態で相手を睨みつけていた。いつもながら全く怖くない。モルモットに威嚇されているような気分になる。
対して六年生の方はと言えばその年にしてもなかなかゴツく、モルモットよりは余程強そうに見えた。まあ、そうは言っても小学生なので、僕から見ればマルチーズのようであるが。
僕は通報してくれた女の子に礼を言い、モルモットとマルチーズの間に割って入った。
すると、早速マルチーズがきゃんきゃんと吠える。可愛い可愛い。
「んだよ、邪魔すんなよ。誰だお前」
「お前こそ誰だ、くそガキ。うちの妹をいじめるなんて良い度胸じゃないか。羅切にされる覚悟は出来てんのか? ああん?」
「……羅切? 意味分かんないこと言ってんじゃねえぞ、このばばあ!」
「ばばあ? 何だとこのしょんべん小僧!」
一通りの挑発を終え、ぴりっと空気が張り詰める。ここからは一触即発だ。
敵は五人。人数こそ多いが所詮は小学生。作戦もなければ、ろくな武器もないだろう。
対して僕は高校生。なめられてもらっては困る。
高校生の本気を見せてやる。
僕は後ろ手に隠したトリガーに指を掛け、じっとその瞬間を待った。
すると敵の一人が不意に拳を振り上げ、攻撃態勢へと移ったのを皮切りに、一斉に攻撃が開始された。
それに合わせて僕も銃を引き抜き、狙いを澄まして一気に撃ち抜く。
狙うは一点。的確に、かつ素早く。
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