七月 長い時間とともにくる暑さ

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 七月に入った。そろそろ自分たち学生が夏休み間近で歓喜する時期であり、暑さに困る時期。世間ではクールビズだ節電だのいろいろ言っているが、実際に実行する人はどれだけいるのだろうか。ちなみに幸一はできるだけ何とかしようと思っている方だ。 「こーいちー」  窓の外を見ながら空が呟く。六月の曇り空はなく、真っ青な蒼天が広がっていた。雲のない綺麗な青色だった。そろそろ学校も夏休みに入り、空と長くいられる時間が増える。学校の補修なんか受けないようにしっかりと学校で勉強もしている。空も自分と一緒にいられる時間が増えることを楽しみにしている。 「こーいちー……あついよー……」 「…だよな。ちょっと待ってろ」  冷蔵庫を覗く。悪いことに飲み物が全くなかった。あるのは父と母が好んで飲んでいた炭酸水が十本。二人ともこれでウイスキーやワインを割るのが好きだった。そんな両親は他界している。 「炭酸水じゃなぁ……」  味がなくてあまり好きじゃない。空も飲まないだろう。冷蔵庫をさらに探る。よく見ると調味料が入った小さなポケットにかき氷のシロップ(メロン味)があった。賞味期限も問題ない。 「……これ、使えるんじゃないか?」  早速パソコンを開き某料理レシピサイトを開く。そしてかき氷シロップを使ったレシピを探る。探せばすぐに見つかった。クリームソーダのレシピ。作り方は簡単。シロップを炭酸水で割ってアイスを乗せるだけ。アイスはないが、メロンソーダならつくることができる。早速グラスにシロップを注ぎ、氷を入れる。そしてゆっくりと炭酸水を注ぎ混ぜる。すぐにできた。 「空ー」 「こーいち?何それ?」  空は初めて見るようだ。空にお手製のメロンソーダを渡す。空はそれをじっと見つめた後ちまちまと飲み始めた。 「!」  空はこの後ごくごくと飲み始めた。どうやら気に入ったようだ。
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