Memento mori

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「はあ……ホンマあの2人は仲悪いなあ……少しは仲良くしてほしいもんやで……」 こめかみに指を当てながら、ハアーッと深い溜め息を吐く鈴。 「仲良くねえ……兄貴と大神さんが仲良くしてる所なんて全く想像できないよ 」 教師は1人説教、生徒2人は睨みあって、生徒の1人は鼻にティッシュを突っ込んで倒れているカオスな光景を眺めながら、玲二は引きつった笑みで答えた。 ふと、隣に立つ玲二に鈴が視線を移すと、何やら大きな箱を抱えていることに気づいた。 「レイちゃん、そのデカい箱は何や?」 「ん? ああコレ?」 そう言って玲二は笑うと、近くにあった机に箱を置いて見せる。 鈴が所々がボロボロで古臭い箱の表面を覗きこむと、そこには小さく【memento mori】と書かれていた。 「……めめんと……もり? どういう意味やろ?」 聞いたことのない単語に、鈴は首を傾げながら玲二を見るが、玲二も「分からない」と肩を竦める。 「……それにしてもレイちゃん、これどないしたんや? ちゅうか何の箱なんや?」 「オレにも分かんないんだ。絵画が乗ってる本を借りようと図書室に行ったらテーブルの上に置いてあってさ。で、オレが何だろうと思って眺めていたら図書委員の人が捨てて来てくれって頼んできたんだ」 「ああ、それで捨てる途中にここへ立ち寄ったっちゅう訳か」 「うん! そーだよ!」 事情を分かってもらえた玲二がパアッと明るい笑みを浮かべた。
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