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「じゃあ、隣の人と交換して……あ、舞原さんとこは三人でトライアングルに交換して。黒以外のペンで採点するように。では、一問目ーー」
その時の彼は体育の授業でグラウンドに出ており、気だるそうに授業を受けている生徒達に渇を入れていた。
そういう時の彼はとても格好良いのだから見れないのはとても残念だし、苛立ちも芽生えるのは当然の事だと僕は思う。
◎
「それはーー我儘なんじゃないのか」
目をぱちくりさせずにはいられなかった。
「……その意味は?」
「田中の意見は最もだし、それがクレームになってもおかしくはない。その時間に俺の授業があるのは毎週のことだから、また来週……見れば、いいだろう。だから、腹立たなくてもい い……」
彼の顔は見る見る紅く染まっていき、己の発言に激しく後悔しているようだ。あぁ、可愛いなんて言葉以上のものが彼にはピッタリだ。
「光希……」 彼の頬に手を添え、伝わってくる熱と色気に軸が野蛮に膨らみそうだ。
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