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だが、光希の心情としては、先程の俺のせいで未だに感情の波が平行になっていないので余裕に対応する事が出来なさそうに見受けられるが……。 「……何だ」 じろり。 いつもより何倍にも増して凝視すれば、声を掛けた女子生徒は効果音が聞こえてきそうな程動揺し、他の部員達は彼女をその位置に残して後退った事から全ての責任を押し付ける気満々のようだ。 女は如何に自分の価値を下げないかを常に試行錯誤しているずる賢い生き物という結果がここらで判る。 「用がないなら行くが」 「あの、その……さっきマドレーヌが焼き上がってね、みきてーー先生通りかかったからどうかなって思って声をかけてみたんです……」 「マドレーヌ……」
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